2021年3月26日 ネット文化は「捕まえにくい」のか?
同書については読後にメモを書いたけど、このエッセイを読んで思ったところを書いておきます。 各論や事例が時代遅れとなっても、概念や理論を交えた議論を展開することで一定の抽象化が図られ、関連分野の研究や後続の研究との接続という面で寄与できるのではないでしょうか。
これには激しく同意。新しい概念や理論を生み出すまでに至らずとも、本書で提示した仮説や事例から抽象化を図ることで、新たに何かを生み出せる、そのプロセスになっていくと思われます。
インターネットの問題を対象とする社会科学の調査・研究は、一見とっつきやすいのですが、実際に手掛けてみると難しい面があり、先行研究の整理という「初手」で詰むこともあります。
ここはちょっとどうかなと思います。インターネットが普及し始めてより四半世紀あまりが過ぎ、ネットを対象とする、ネットをフィールドとする調査研究はかなり蓄積されてきたと思います。よい先行研究を探索し、出会うことが確かに難しいのですが「詰む」というほどでもないでしょう。
同書でも繰り返し提示されている「つながり(繋がり)の社会性」や「ネタ(的)コミュニケーション」といった概念は、これらが初めて提示、議論されてから10年以上が過ぎていきましたが、提示した本人または他の研究者により徹底的に検証しなくてはならないと思います。